スタートアップ企業が資金調達を進める中で
「出資する代わりに
オタクの技術やノウハウを開示してほしい」
そんな要求を受けることは
決して珍しくありません。
しかし
その要求は独占禁止法違反
となる可能性があります。

(今日の「棒人間」 不当な要求??)
<毎日更新1722日目>
スタートアップの企業であるA社は
あらゆる商品に利用可能な
抗菌繊維素材を開発しました。
ただ
自社だけでは
技術開発のスピードや
資本が不足しているため
事業会社から投資を受ける
ことを考えています。
いろいろと探して
A社に出資してくれるという
B社が現れました。
A社は
B社との間で
出資の条件などの交渉に入りました。
A社としては
自社の開発した抗菌繊維素材に関する技術
ノウハウなどは
まさに自社の生命線となる情報です。
それゆえ
やはりB社と取引を行うにあたっては
秘密情報の漏洩を防ぐため
B社との間で秘密保持契約を
結ぶことを求めました。
ところが
B社は
この秘密保持契約を結ぶことを拒否。
それどころか
B社が出資する条件として
A社の持つ抗菌繊維素材に関する情報を
B社に開示することを要求してきたのです。
A社としては
自社の力のみでは
せっかく持っている技術の
製品化の実現が難しいですから
是非ともB社から出資を受けたいわけです。
ところが
B社の要求に応じて
自社の情報を開示してしまっては
B社や他社がA社が開発した素材を
使っていち早く商品化されてしまう
リスクがあります。
一般的に
投資を受ける立場にある
スタートアップ企業は
投資を行う事業会社などに対して
弱い立場に立たされることが
多いわけです。
そこで
出資する事業会社が
スタートアップ企業に対して
不当な要求を行うことがあります。
たとえば
秘密保持契約を締結しないまま
秘密情報の開示を要求される。
あるいは
出資者が
出資の条件として
スタートアップ企業に対して
秘密情報の開示を求めるなど。
この場合
スタートアップ企業としては
出資を受けられなくなるなどの今後の
取引に与える影響等を懸念して
出資者の不当な要求に応じざるを
得ないケースがあります。
このような場合
出資者の行為は
独占禁止法が禁ずる優越的地位の濫用
に当たることが考えられます。
ここで
「優越的地位の濫用」とは
取引上の地位が相手方に
優越している事業者が
その地位を利用して
正常な商慣習に照らして不当に相手方に
不利益を与える行為のことを言います。
この優越的地位の濫用が行われた場合
公正取引委員会は
違反企業に対して
そうした違反行為をやめさせるための
「排除措置命令」という行政処分を
行うことができます。
さらに
違反事業者には「課徴金」という
ペナルティーが課されることもあります。
この点
公正取引委員会は
スタートアップをめぐる取引に
関する調査結果を公表しています。
(令和4年12月23日)スタートアップをめぐる取引に関する調査結果について
この中で
上記の独禁法違反となる
事例が公表されています。
ですから
スタートアップの立場としては
もし大手企業が上記のような
不公平・不合理な契約を要求してきた場合
この公正取引委員会の報告書を提示して交渉する
というのが1つの有効な方法だと考えられます。
大手企業としても
独禁法違反で公正取引委員会から
行政処分を受けたりすることを
恐れているからです。
また
そのように交渉しても
相手方の大手企業の姿勢が
変わらない場合には
この企業との取引を断念することも
1つの選択肢であると考えます。
技術力のあるスタートアップとしては
無理をしてこうした横暴な大手企業と
契約を結ばない方が良いということです。
技術力はあるが
リソースが少ないスタートアップ企業
としては
やはり他社からの出資に
頼らざるを得ない場合があります。
しかし
他方で
出資と引き換えに
自社の生命線である技術情報の
開示を強要されてしまっては
元も子もありません。
ここは
法律をうまく使って交渉していく
ことが大切ですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。