取引先ときちんと契約書を作り
その契約どおりの期日に代金を支払った。
それでも
取適法の「60日ルール」に違反して
しまうことがあります。
委託側の企業が気をつけたい
意外な「うっかり違反」とは?

(今日の「棒人間」 うっかり違反??)
<毎日更新1976日目>

ウチは、受け取った商品の検収が終わった月の翌月末に代金をきちんと払ってますよ!
会社としては
ごく普通の支払いルールに
思えるかも知れません。
しかし
そのルール
取適法の「60日ルール」に違反
している可能性があります。
特に注意したいのが
商品の「納品日」と
「検収日」がズレるケース。
たとえば
お菓子メーカーのA社は
自社で製造・販売するお菓子を入れる
オリジナルの箱の作成を
印刷会社であるB社に委託しています。
B社との間ではきちんと
基本契約書を作成していて
箱の代金の支払い期日については
と規定されていました。
B社は
A社との契約に基づき
作成したお菓子の箱1万個を
1月25日にA社に納品しました。
その後
A社では
納品された箱について
数量が合っているか
印刷の色に問題がないか
傷や汚れがないかなどをチェックします。
そして
A社においてこの「検収」が
終わったのが2月5日でした。
そこで
A社の経理担当者は
上記のB社との契約に基づき
上記箱の代金を3月31日に
支払いました。
しかし
ここに取適法の落とし穴があります。
下請法の改正法として今年1月に施行
された中小受託取引適正化法(取適法)。
この取適法では
委託事業者は
原則として中小受託事業者から給付を受領
した日から60日以内のできる限り短い期間内に
支払期日を定めなければならない
とされています。
そして
この60日がカウントされるスタート時点は
「検収」ではなく
あくまで「受領」のときからとされています。
ですから
A社の場合
B社から箱を受領した1月25日から起算して
60日以内に支払わなければならないわけです。
この場合
たとえB社との間で支払期日の
合意があったとしても
上記の取適法の規制が優先されます。
ですから
たとえB社が3月31日でOK
と言っていたとしても
受領日から60日を超えていれば
取適法違反ということになって
しまうのです。

上記のA社のように
検収日を基準とした締切支払制度を
採用する会社では
こういった意図せず支払遅延
となってしまうことがあり
いわば「うっかり違反」の典型例
と言われています。
この点
こういった「月末検収締め・翌月末払い」
というルールが一律にダメだというわけでは
ありません。
問題は
上記のA社の事例のように
検収のタイミングによって
受領から支払までが60日を
超えてしまう可能性があること。

さらに注意したいのが
「遅延利息」です。
取適法では
代金の支払いが遅れた場合
受領日から起算して60日を経過した日から
実際に支払われる日まで
年14.6%の割合による遅延利息を
支払わなければならないとされています。
これは
たとえ当事者間の契約で「遅延利息」の
取り決めがなかった場合とか
14.6%よりも低い割合の「遅延利息」を
定めていた場合でも
取適法の14.6%が優先されてしまいます。
このケースで気をつけなければならないのは
あくまでA社はB社への支払いを
意図的に遅らせようとしていたわけではない
ということです。
それどころか
ちゃんとB社との間に
契約書まで作成しています。
しかし
そうであっても
取適法の規制(60日ルール)違反
となってしまう場合がある
ということです。
会社の法律問題で怖いのは
誰かが悪いことをしようとして
おこる問題ばかりではない
ということです。
むしろ
そんな日常業務の中に
法律上のリスクが潜んでいる
ことがあります。
今年の1月から施行された取適法の規制。
A社のような委託側の企業にとって
取引先との契約書だけではなく
発注方法、支払いサイト
検収方法、請求書の処理など
実際の社内運用まで含めてチェック
することが大切です。
法的なトラブルというものは
起きてしまってから対応しようとすると
どうしても解決に時間やお金が
かかってしまいます。
そうではなく
「この支払いルール、大丈夫かな?」
という段階で確認しておけば
ルールを少し見直すだけで
済むことも少なくありません。
私が中小企業の顧問契約の
お仕事の中で大切にしているのも
こうした「裁判沙汰」になる前の予防です。
契約書を作るときだけでなく
日々の取引や社内ルールについて
ちょっと気になったときに
気軽に相談できる。
そんな環境を作っておくことも
中小企業が余計なトラブルや「裁判沙汰」に
巻き込まれないための1つの方法だと思いますね。
それでは
また。
◾️裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール
◾️あなたの会社のトラブルを予防します〜あんしん法務ガード(顧問契約)
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。