福岡市職員労組の女性職員が
「組合活動に消極的」などとして
解雇されたものの
裁判所はその解雇を無効と
判断しました。
「やる気がないから解雇」は通用するのか?
そして会社に重くのしかかる「バックペイ」
のリスクについて考えます。

(今日の「棒人間」 やる気がないから解雇、は通用しない??)
<毎日更新1975日目>

やる気がない!解雇だ!!
というのはアリなんでしょうか?
福岡市職員労働組合の職員だった女性が
組合活動への消極的な姿勢を理由に
解雇されたのは違法だとして
裁判を起こしました。
これに対し
福岡地裁は
解雇を無効とし
労働組合側に未払いの賃金の支払いを
命じる判決を下したとの報道がありました。
報道によれば
この女性職員は
2021年に事務職を希望して求職活動中
ハローワークの紹介で
この労働組合の職員に。
しかし
休日に組合活動への参加を求められるなど
当初の認識と異なる業務が増え
不安や負担を感じるようになりました。
その上
この職員は
雇用形態の変更を打診されたが応じず
集会やデモへの欠席を
繰り返したなどとして
2024年に解雇されたとのことです。
判決では
求人票に組合運営業務などと
記載されていたとはいえ
加入促進などの活動に積極的に携わることが
「自身の主たる業務と捉えることは困難」
と指摘。
組合活動の程度が期待を
下回っていたことを踏まえても

解雇は客観的に合理的な理由や社会的な相当性を欠く
と判断しました。
本来は労働者の権利を守る役割の労働組合が
雇用している職員から「裁判」を起こされ
解雇が無効と判断されたレアな
ケースかと思います。
法律上
会社など雇い主が雇用している
社員などを解雇する場合には
労働契約法という法律で
という2つの要件が必要とされています。
冒頭の事例で考えると
労働組合というものは
やはり組合員の拡大や集会や
デモへの参加という一定の活動も
その重要な業務になっています。
そういった労働組合本来の活動への
消極姿勢というものが
果たして上記の
「①解雇の客観的合理的理由」
になるかどうか。
本来この女性職員は
「事務職」を希望して求職活動
をしていました。
そして
求人票に「組合運営業務」などと
記載されていたものの
それを超えて加入促進などの活動に
積極的に携わることまでは
読み取れませんでした。
さらに
組合からも
入職前に集会やデモといった活動に
積極的に関わることが主たる業務との
説明を受けていませんでした。
そうなると
仮に一般的には労働組合のメインの
活動に対して消極的であったとしても
それだけでは「①解雇の客観的合理的理由」
にはならない
ということになります。

これは
一般の会社
特に中小企業でも問題になり得る話です。
事務職として採用されたものの
人手が足りず
物販だとか販促活動を手伝わされた。
その際
そうした事務職以外の職務に
消極的だからといって
それだけで解雇することは困難だ
ということを意味します。
このように
日本の裁判所は
解雇に対して非常に厳しい判断が
なされることが少なくありません。
さらに
冒頭の事例では
判決で解雇が無効と判断されただけでなく
「未払い賃金」の支払いも命じられています。
これはどういうことかと言うと
「解雇」した方は
それ以降はもはや給料の支払いは
不要であると考えます。
まぁ
これは当たり前ですね。
ところが
後々これが裁判で「不当解雇」
であるとされると
解雇は無効
すなわちこの社員の地位が
現在までずっと残っていた
ということになります。
そうなると
その間の給料も発生していた
と考えられることになり
その分が「未払い」なので
支払えという話になってくるのです。
これを「バックペイ」と言ったりします。
解雇の問題ではこの「バックペイ」の
問題がセットでついてくる。
すなわち
会社側にとっては
解雇が無効とされるだけでなく
もう支払わなくてよいと思っていた
過去分の給料を「バックペイ」
という形で支払わざるを得なくなる。
「バックペイ」は未払いの
期間にもよりますが
何ヶ月分か(場合によっては年単位)
の給料をまとめて支払う
ということですので
中小企業にとっては非常に
負担が大きくなります。

そんなわけで
「やる気がない」とか、「活動に消極的」
といった理由で
安易に解雇することは危険です。
問題となる社員がいたとしても
事前に弁護士に相談するなどして
なるべく解雇を避ける方策を
考えるのが妥当だと思いますね。
社員との「裁判沙汰」を避けるためにも
ここは慎重に対応したいものですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。