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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【原材料費の高騰】契約後の「値上げ」はできるか?

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いったん契約で代金額を取り決めた以上、

後になって当事者の一方的な意思で

それを変更することができないのが原則です。

 

 

しかし、場合によっては、

例外的に契約後に相手方に値上げを

求めることができる場合もあります。

 

 

それは、

どのような場合なのでしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 原材料の高騰はしんどい??)

 

(雲が下に見える「高さ」@燕岳)

 

<毎日更新668日目>

原材料費の高騰で、契約時の価格では大赤字に?

世の中、

食品などあらゆる分野で「物価上昇」が

進んでいますね。

 

 

建設業界でも、

原材料費等の高騰が止まらず、

悲鳴を上げている業者さんも多いようです。

 

 

私のブログ仲間で、

群馬県の館林市で内装下地工事店を営んでいる

株式会社中島内装の中島隆男さん。

 

 

彼の会社でも、

取り扱っている建材のほとんどが、

2月から3割も値上げされたそうです。

 

 

値上げ率が大きすぎて、

従来の工事単価で見積もっていては、

「大赤字」になってしまうそう。

 

 

中島さんのブログ

⏬⏬⏬

 

 

さらに、深刻なのは、

建物の建築には、

通常契約後から建物の完成まで

数ヶ月の時間がかかること。

 

 

建材等の価格が短期間で急上昇するので、

契約を結んだ時に決めた価格では、

結局予算が合わなくなってしまい、

四苦八苦している会社が多いようです。

 

 

契約というものは、

法的に拘束力があります。

 

 

ですから、

最初に建物建築請負契約を結んだ時点で

決めた工事価格は、その後に、

当事者の一方が勝手に変更することはできません。

 

 

しかし、

契約時に予想できないようは原材料費の高騰が

その後に起こる、というような場合にまで、

この原則をつらぬくと、どうなるか?

 

 

建設業者としては、

とてもリスクがあって契約できない、

ということになってしまいます。

 

 

こんな場合、

いったいどうしたら良いのでしょうか?

 

 

 

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契約後に「値上げ」交渉を行うための法的根拠

まず第一に大切なことは、

このブログでも散々お伝えしているように、

契約書を作ること。

 

 

すなわち、

きちんとした「建設請負工事契約書」を

作成することです。

 

 

世の中には、

契約書がないため、

いったいいくらで工事を請け負ったのかが

曖昧になり、トラブルになるケースが

少なくありません。

 

 

そして、契約書の中に、

契約締結後に、当事者間で予測不可能な

事態が生じた場合などに、

請負代金の増額を求めることができる、

という内容を入れておくことです。

 

 

具体的には、

契約書の中に、

物価、賃金が変動し、請負代金が適当でないと認められるときに工事金額を変更することができる

という規定を入れておくということです。

 

 

この点、

中央建設業審議会(中建審)が出している、

「民間建設工事標準請負契約約款・甲」にも、

次のような規定が置かれています。

(請負代金額の変更)
 第三十一条 発注者又は受注者は、次の各号のいずれかに該当するときは、相手方に対して、その理由を明示して必要と認められる請負代金額の変更を求めることができる。
 五 契約期間内に予期することのできない法令の制定若しくは改廃又は経済事情の激変等によって、請負代金額が明らかに適当でないと認められるとき。

 

 

それでは、

契約書でこうした条項を入れていなかった場合は、

どうしたら良いのでしょうか?

 

 

先ほども見たとおり、

上記のような金額変更に関する取り決めを

していない限り、いったん契約で決まった金額を、

当事者の一方的な意思のみで変更することは

できないのが原則です。

 

 

しかし、例外的に、

「事情変更の原則」

という考え方があります。

 

 

これは、

契約の成立後、その契約の基礎となっている事情につき、契約当事者が当初予見し得なかった著しい変化が生じ、もとの契約内容をそのまま履行させることが当事者間の衡平を損ない、信義に反する結果となる場合、契約の改定などが認められる 

とする考え方です。

 

 

極めて例外的な場面ではありますが、

裁判例でも認められている考え方です。

 

 

この事情変更の原則が

適用されるための要件は、

①  契約後に、契約の基礎となる事情に著しい変化が生じたこと

② 事情変更が、契約当初予見不可能であったこと

③   事情変更の結果、もとの契約の拘束力をそのまま承認することが、信義則に反する結果となること  

の3つを満たす必要があります。

 

 

今回の、

極めて短期間における原材料費の急激な

高騰があり(①)、それが契約当初予見不可能

である場合(②)には、契約時の金額を

一切変えないということは、

ときに信義則に反する結果と

なり得ると考えます(③)。

 

 

したがって、

この「事情変更の原則」という理論を使って、

契約時の金額よりも値上げを交渉する

というのも1つの方法だと思います。

 

 

もちろん、

これらの法律的な理屈があっても、

実際上は、契約で決めた金額を後で増額

するような交渉は、簡単ではないと思われます。

 

 

しかし、

交渉をする際の一材料として、

こうした法律的に契約内容の改訂を

求めることができる「理屈」を

知っておくことも、

重要かと思われます。

 

 

なお、

このようなトラブルでお困りの経営者の方は、

弁護士と顧問契約を結ぶこともお勧めです。

 

 

弁護士と顧問契約を結んでおけば、

こうした契約書のチェックを依頼したり、

相手方との交渉を依頼したりすることもできます。

 

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また、

法律相談をご希望の方は、

下記よりお申し込みください。

 

法律相談のお申し込み

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 例外的に、契約後に「値上げ」を求めることができる場合もある!

ということです。

 

 

実際に、

契約後に原材料費の急激な高騰があり、

途中で値上げを要請してトラブルになる、

というケースもあるようです。

 

 

契約後に値上げ交渉をする際に、

重要なポイントは、

値上げをお願いする場合は、

なるべく早めに相手方に伝えることです。

 

 

工事完成後になって、

契約時の値段をはるかに上回る工事代金を

請求された、などというケースもあります。

 

 

これでは、

いくら原材料費高騰という事情があっても、

支払う方も納得できないでしょう。

 

 

また、

なぜ値上げをせざるを得ないのか、

という点についても、

具体的な数字の根拠を示して交渉

した方が良いでしょうね。

 

 

「交渉」する場面でも、

相手方に対する誠実な対応は必要です。

 

 

なるべく相手に納得してもらえるような、

交渉の仕方を工夫する必要がありますね。

 

 

下記の関連動画もご覧ください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

業務委託契約を結んだつもりなのに、なんと雇用契約と判断されてしまう場合があります。それはいったいどんな場合なのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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