
飲食店を営んでいると、
近隣の住民から騒音が
うるさいというクレームを
受けることがあります。
こんなとき、
お店側としては
どのように対応したら
よいのでしょうか?
(今日の「棒人間」 騒音のクレームを言う人)
<毎日更新961日目>
忘年会シーズン真っ只中。
今年は、
コロナが明けた影響もあり、
しばらく控えていた忘年会を
復活させるという人も
多いでしょう。
先日、
都内で数店舗の飲食店を
営む会社の社長さんから
ご相談を受けました。
その会社の飲食店の
近隣住民から、
お店の騒音がうるさいので、
何とかしてほしい、
というクレームを
受けているそうです。
そのお店は、
お昼の12時から夜の
12時まで営業しており、
お昼はランチ、
夜はお酒の提供もある
居酒屋として営業
しています。
お昼の時間はともかく、
夜の時間帯になると、
お客さんがお店でお酒を
飲んで盛り上がることも
多くなります。
お酒を飲むと、
どうしても声が大きく
なる人も出てくるし、
騒がしくもなるでしょう。
夜10時以降の時間帯に
騒音があると、
子どもやお年寄りが
寝れないとか、
そういったクレームが
あるようです。
社長としても、
対処の仕方がわからず、
なんとなくやり過ごしていたら、
だんだん近隣の住民からの
クレームは激しくなってきます。
中には、
と言ってくる人もいて、
参っているとのことです。
この点、
飲食店が、
騒音の問題でどのような
法的な責任を負う
可能性があるのか、
見てみたいと思います。
まず、
騒音規制法という法律で、
飲食店営業等における
深夜の騒音については、
必要があれば各地方自治体の
条例などで規制される
ことになっています。
深夜営業というのは、
一般に午後10時から
午前5時までの時間帯を
さします。
また、
大規模小売店舗立地法や、
風営法でも、
店舗の騒音を規制する
規定が置かれています。
こうした行政規制に
違反している場合には、
法律や条例に基づく
指導や改善勧告、
営業停止命令などを
受ける可能性があります。
また、
仮にこうした規制に
違反していない場合でも、
一定の騒音が近隣住民に
対する不法行為になる
場合もあります。
それはどういう場合か
というと、
その騒音が周辺住民が
社会生活上受忍すべき範囲
を超えていると評価
される場合です。
この社会生活上受忍すべき範囲を
「受忍限度」と言います。
「受任限度」を
超えている場合には、
近隣住民に対する
損害賠償を行う必要が
出てきます。
この「受忍限度」を
超えているか否か
については、
①被害の程度、②加害行為の公共性、③加害行為の規制基準違反の有無、④損害防止対策の有無、⑤加害者と被害者のどちらが先に住んでいたかや周辺の事情(地域性)
などを考慮して
判断されることに
なっています。
こうした受忍限度を
超えているという事実は
基本的に住民の側で
証明しなければならない
ことになっています。
ですから、
実際の裁判で騒音が
受忍限度を超えると
判断されることは
多くはありません。
したがって、
仮に周辺住民から
裁判を起こす、
などと言われても、
会社側はあくまで
落ち着いて冷静に
対応することが大切です。
ただし、
いくら法的な責任が
認められる可能性が
低いとはいえ、
周辺住民の声を
まったく無視して
お店を営業し続けるのは、
得策ではありません。
その地域でお店を
営業していくためには、
やはり近隣住民との良好な
関係は不可欠です。
ですから、
まずクレームにはきちんと
真摯に耳を傾ける必要が
あるでしょう。
その上で、
お店の方でできる対策、
たとえば防音設備を
店内に設置するとか、
お店の営業時間の
短縮を検討するなど、
実施可能な騒音防止対策を
検討する必要は
あると考えます。
近隣住民との
「裁判沙汰」を避けるためにも、
仮に法的な責任がない場合でも、
誠実な対応は求められると
思います。
それにしても、
社会で生活をしていれば、
騒音に限らず
いろいろと我慢しなければ
ならないことも
少なくないでしょう。
どの程度までが
我慢すべき範囲で、
どこからがそれを
超えているか、
これを丁寧に考える
必要があるでしょうね。
それでは、
また。
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今回は、社員とのトラブル予防、雇用契約書を作った方がよい3つの理由、というテーマでお話ししています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。