
日本の新聞社が
アメリカの生成AI事業者を相手に
著作権法違反で裁判を起こした
との報道がありました。
生成AIと著作権の問題は
今後増えていくだろうと
予想されています。
(今日の「棒人間」 AIと新聞記事の著作権)
<毎日更新1576日目>
朝日新聞社と日経新聞社が
アメリカ生成AI業者に対し
著作権侵害行為の差止めと合計44億円の
損害賠償を求める裁判を起こした
との報道がありました。
朝日、日経も米国の生成AI事業者を東京地裁に提訴 記事無断使用訴え 読売に続き
報道によると
アメリカの生成AI事業者である
「パープレキシティ」が
インターネット上に公開されている
記事を無断で使用したということで
提訴に至ったそうです。
同種の裁判は
すでに読売新聞社が起こしており
今回の2社が続いた形
となっているようです。
このパープレキシティ社は
利用者から受けた質問に関する情報を
インターネット上で収集して生成AIが
回答するサービスを提供。
遅くとも2024年6月頃から
両新聞社の記事が含まれる回答を
無断で提供したとされています。
日経新聞社は
などとコメントしているそうです。
新聞社側の主張は
パープレキシティ社が
自社の許諾を得ずに記事を無断で
利用しているというもの。
著作権法という法律では
を「著作物」として保護しています。
そして
新聞記事も当然この
「思想又は感情を創作的に表現したもの」
にあたり
著作権法上の「著作物」となります。
著作権法において
他人の著作物を無断でコピーしたり
インターネット上で公開することは
原則として禁止されています。
すなわち
著作物のコピーやネット上の公開は
著作権者(上記の事件では新聞社)の
重要な権利とされていて
他人が無断で行うことはできない
とされているのです。
こうした他人の著作権を侵害した場合
著作権者としては
侵害者に対してその行為の差止めや
損害賠償を請求することができます。
さらに
著作権法では
他人の著作権を侵害した場合には
という罰則も定められています。
ただ、ここで
生成AI業者から
これは「情報解析のための利用」
であったとの反論が予想される
と言われています。
この点
著作権法では
例外的に著作権者の承諾なく
著作物を利用できる場合の1つとして
があげられています。
少しわかりにくいですが
「情報解析の用に供する」というのは
たとえばAIの機械学習やビッグデータの
解析が典型例とされています。
具体的には
膨大な文書データからAIが
文法や単語の関係性を学習したり
大量のテキストデータから
市場トレンドを分析したりすること
などがこれに当たります。
おそらく
上記の事件でもパープレキシティ側は
この「情報解析の用に供する場合」に当たり
著作権法には違反しないと
反論してくることが予想されています。
ただ
上記の事件で新聞社側は
AIが
などとしている点を
問題視しています。
すなわち
パープレキシティ社の行為が
単なる「情報解析」にとどまらず
点を問題にしているようです。
要するに
Iが学習した結果を
あたかも新聞記事そのものであるかのように
利用者に提示しているわけで
単なる「情報解析」の範疇を
超えて利用している
というわけです。
いずれにしても
裁判ではこの点が大きな争点に
なるものと思われます。
実は
この事件ではもう1つ論点があって
パープレキシティ社の行為が
信用毀損行為にあたり
不正競争防止法に違反するのでは
ないかという問題があります。
長くなりましたので
この点はまた明日お話しします。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。