建物の賃貸借で
建物が古くなったので貸主から
出ていってほしいと言われた
という事例は世の中結構あります。
しかし
建物が古いことが
必ずしも賃貸人の契約解除や更新拒絶の
理由にはならないことも少なくありません。
借り手としては
冷静な対応が必要です。
(今日の「棒人間」 建物が古いから出ていって、と言われたら?)
<毎日更新1078日目>
確かに
そのオフィスが入っているビルは
だいぶ古い建物ではありました。
これは、やはりうちが出ていかなければいけないのでしょうか?
先日
建設業を営むA社長から
ご相談がありました。
A社長の会社のオフィスの
建物を借りている借主が
最近建物を不動産業者に
売却したそうです。
そうしたところ
新しくこの建物を買い受けた業者から
早速A社長のところに
連絡があったそうです。
今後は、うちが貸主なんでよろしくお願いします。
ところで、オタクとの賃貸借契約、あと半年で期限ですね。
見てのとおり、この建物は古くて建て替えの予定なんで、期限までに出ていってもらいたいです。
A社長はこれまで約20年
このオフィスで会社を
やってきました。
契約も
これまで当然更新が
続いてきました。
突然貸主が代わり
出ていってくれと言われた
A社長は憤慨しています。
いくら建物が古いって言ったって、まだまだ使えるんです。
いきなり出て行けなんて、こんなひどい話があるんでしょうか?
こんな風に
建物の賃貸借で
建物が古くなったので貸主から
出ていってほしいと言われた
という事例は世の中結構あります。
確かに
見かけからすると
建物が築何十年と古くなって
いるような事例では
貸主側の要求が認められて
しまうように感じるかも
知れません。
実際上も
借りている立場からすると
貸主から求められると断りにくい
という気持ちにもなるかも知れません。
とはいえ
そこで長年ビジネスをしていたのに
急に出ていけと言われても
すぐに条件の良い移転先が
見つかるとも限らず
困ってしまいますよね。
この点
借地借家法という法律は
貸主である大家さんの側から
賃貸借契約を解除したり
契約の更新を拒絶する場合には
正当事由が必要とされています。
問題は
「建物が古い」という事情が
この貸主側の正当事由に
当たるかどうかという点ですが
そう簡単にはいきません。
確かに
建物が古いという事情は
貸主側の「正当事由」の1つの
要素にはなり得ます。
しかし
「古い」と言っても程度問題で
今の世の中
築50年とか60年程度の建物は
山のようにあるわけです。
ですから
単に「古い」という理由だけで
貸主の「正当事由」が
認められるわけではありません。
実際には
建物が相当程度老朽化し
あるいは築年数がかなり
経過しているような建物でも
借主の使用に支障が
ないようなケースでは
正当事由を否定し
貸主側の明渡請求を認めない
裁判例も少なくありません。
また
仮に老朽化を理由に明け渡しを
認める場合でも
貸主側に相当の立退料の
支払いを課している
裁判例も多いです。
このように
実際の裁判例では
古いからといって必ずしも貸主側の
「正当事由」が認められて
いるわけではありません。
ですから
貸主側から
「建物が古くて取り壊すので
出て行って」と言われたとしても
その主張が法律的に正しいか
どうかはそう簡単には判断できません。
大切なことは
そう言われたからといって
簡単に諦めて出て行って
しまわないことです。
一度明渡に合意してしまうと
それはそれで新たな「合意」
として法律上の拘束力が
生じてしまいます。
長年そこで営んできた会社の
オフィスを失わないためにも
冷静な判断と対応が必要となります。
もし判断に迷った場合は
必ず弁護士に相談するように
することをお勧めします。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。