自社を紹介するビデオ
を外注して制作
これを編集して自社の
ホームページにアップしたら
なんとこの外部業者から
著作権侵害で訴えられた。
実は
中小零細企業でも、
情報発信に伴う著作権侵害の
リスクが大きくなっています。
(今日の棒人間 突然訴えられて慌てふためく・・・)
<毎日更新1084日目>
海賊版サイト「漫画村」に
漫画を無断転載されたとして
KADOKAWA、集英社、小学館の
出版大手3社が漫画村の元運営者
とされる男性を相手取り
著作権侵害で損害賠償を
求める裁判を起こしました。
その判決が先日あり
東京地裁は
合計約17億円の損害賠償を
命じたとの報道がありました。
日本の著作権侵害に関する裁判で
命じられた賠償額としては
おそらく過去最高だとのことです。
2016年2月から2018年4月まで
開設されていた漫画村は
数多くの人気漫画を無断掲載して
閲覧数を集めるなどして
社会問題となっていました。
元運営者とされる男性は
2019年9月に著作権法違反
などの罪で逮捕されて
その後
懲役3年の有罪判決が
確定しているようです。
この事件により
長らく問題となってきた国内の
海賊版サイトはほぼ根絶できた
とのこと。
ただ
いまだに海外版サイトに
よる被害は大きく
今後の課題とのことです。
このように
著作権侵害の事件は
ときに巨額の損害賠償が
問題となることがあります。
この点
中小零細企業としては
うちはそんな、巨額の賠償が問題となるような著作権の問題は無縁だね。
と考えるかも知れません。
しかし
今の時代は
中小零細企業も
インターネット等で情報発信を
行う機会が増えていますので
著作権侵害のリスクは
大きくなっています。
たとえば
ある会社(A社)が
自社の紹介ビデオを作ろう
ということで
外部の業者に委託して
ビデオを制作しました。
このビデオの内容が
とてもよかったので
A社では
このビデオを編集した上で
会社のホームページにアップ
したいと考えています。
ここで問題になりがちなのが
この外部業者が制作したA社を紹介
するビデオの「著作権」が
A社にあるのか
それとも制作した外部業者
にあるのかということです。
「著作権」とはどんな権利なのか
については
先日のブログに詳しく書きましたので
そちらをご参照ください。
ここで
ビデオの著作権が
もし外部業者にある
ということになると
どうなるでしょうか?
原則としてA社が
この業者の許可を受けずに
ビデオを編集したり
アップしたりする行為は
著作権侵害にあたる
可能性があります。
と思うかも知れません。
しかし
著作権法上の「著作物」とは
思想又は感情を創作的に表現したもの
を言いますので
A社を紹介するビデオも
この「著作物」に当たります。
そして
著作権法では
この「著作物」を創作した人を
「著作者」と言います。
著作権は
まさにこの著作者が
持っている権利です。
ですから
仮にA社を紹介するビデオであっても
そのままでは
そのビデオの著作者はあくまで
制作した外部業者です。
そこで、
この業者が著作権を持っている
ということになるわけです。
こういうトラブルが
起きる大きな原因は
そもそもA社と外部業者との間で
完成したビデオ(著作物)の
著作権をどちらが持つか
ということについてきちんと
取り決めをしなかった
ことにあります。
そこで
こうしたトラブルを予防するには
ビデオ制作契約を結ぶ段階で
完成したビデオの著作権を
A社に譲渡するということを
明確にしておくことです。
具体的には
A社と外部業者との間の
契約書において
という規定を書いて
おくことです。
さらにもう1つ
完成したビデオの編集
についても問題があります。
というのは
著作者には
著作権の他に
著作物について不本意な改変を
されないことなどを内容とした
「著作者人格権」という権利もあるからです。
先ほど見た
「著作物」の定義は、
思想又は感情を創作的に表現したもの
ということでした。
このように
著作物というのは
つくった人(著作者)の
思想又は感情のあらわれ
すなわち著作者の人格のあらわれ
であることを根拠に認められるのが
この著作者人格権というものです。
ですから
仮にA社がこの外部業者が作った
ビデオを編集する場合には
契約書にもう一つ加える
必要があります。
すなわち
契約書に
といった条項を
入れておくべきです。
このように
外部業者に委託して制作した
自社紹介のビデオであるからといって
必ずしも自社が自由に
使えるとは限りません。
もし勝手に編集したり
インターネット上にアップしたりすると
場合によってはこの
外部業者とトラブルになり
「裁判沙汰」に発展してしまう
危険もあります。
この点
私のミッションは
ということ。
著作権をめぐる「裁判沙汰」を
予防するためには
やはり制作物の著作権をどうするのか
きちんと契約書にうたっておくべきです。
こういう場合の
外部業者との契約書の内容は
きちんと整えておきたいものです。
このように
大企業だけではなく
中小零細企業でも
近年著作権に関するトラブル
に巻き込まれるリスクが
増えていますので
注意が必要ですね。
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。