原材料費が高騰して
利益が圧迫されているのに
元請企業や親事業者が
値上げに応じてくれない。
こういう中小零細企業の
経営者の声をよく耳にします。
しかし、この問題
いよいよ国が本腰を
入れ始めた気配です。
(今日の「棒人間」 今こそ「値上げ」を訴えるとき??)
<毎日更新1217日目>
原材料費が高騰して利益が出なくて大変です。
親事業者に値上げしてくれと言っても、応じてくれないんです。
少し前に
経済産業省が
取引先の中小企業との価格交渉や
価格転嫁に後ろ向きな企業を公表した
という報道がありました。
具体的には
約4万6000社の中小企業を
対象にアンケート調査を実施。
そして
10社以上の中小企業から主要な取引先
として名前があがった290社について
取引価格に関する交渉や
転嫁の状況をまとめ
4段階で評価したそうです。
その結果
価格に関する交渉状況で
タマホームやエディオン
一条工務店の3社がこの
4段階評価で最低だったとか。
さらに
価格交渉と価格転嫁の評価が
ともに2番目に悪かったのが
ヤマト運輸、コメリ
パナソニックホームズなど18社で
うち3社はハウスメーカーだったそうです。
経産省の分析では
原材料費の高騰で住宅価格が
値上がりする一方で
価格添加がコスト上昇分に追いつかず
中小企業へしわ寄せがいっている
とのことです。
原材料費が高騰して
利益が圧迫されているのに
元請企業や親事業者が
値上げに応じてくれない。
こういう中小零細企業の経営者の声は
私もよく耳にするところではありました。
いよいよ国も
価格転嫁に消極的な企業名を
公表するということで
この問題への対策に本腰を
入れ始めたと言えるかも
知れません。
原材料価格の高騰という
正当な理由がありながら
力の強い立場にある元請や
親事業者が価格転嫁に応じない。
実はこれは
「買い叩き」と言って
法律で禁止されていることなのです。
具体的には
下請法という法律で
元請や親事業者が
下請け企業に対して
類似品等の価格または市価に
比べて著しく低い下請代金を不当に
定めることを禁止しています。
この点
公正取引委員会で下請法の
運用基準を定めています。
すなわち
労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について,価格の交渉の場において明示的に協議することなく,従来どおりに取引価格を据え置くこと。
労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストが上昇したため,下請事業者が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず,価格転嫁をしない理由を書面,電子メール等で下請事業者に回答することなく,従来どおりに取引価格を据え置くこと。
こういった行為が
いわゆる「買い叩き」に
当たるということです。
さらに、この下請法では
公正取引委員会が違反事業者に対して
違反行為を是正するように
「勧告」を出すことができます。
また
公正取引委員会は
必要があると認めた場合には
元請や親事業者に対して報告を
求めたり
事業所への立入検査
なども行えることに
なっています。
そして
その際に元請や親事業者が
虚偽の報告をしたり
検査を拒んだりした場合には
という罰則も
定められています。
また
公正取引委員会では
こうした下請法違反の
勧告事例を公表しています。
なお
建設業については
この下請法の規定は
適用されません。
その代わり
建設業法という法律が適用され
建設業法では「不当に低い請負代金の禁止」
を定めていて
やはり元請や親事業者による
「買いたたき」同様の行為が
規制されています。
今
物価は上がっており
しかも建設業に限らず
あらゆる業界で
「人手不足」が起こっています。
今の時代
中小零細企業がきちんと
人材を確保するためには
適正な「賃上げ」が
どうしても必要になります。
そして
「賃上げ」すなわち
人件費を増やすためには
「粗利」を増やす
必要があります。
同じ売上でも
原材料費などの変動費が高騰すれば
「粗利」は減ってしまいます。
そこで
「粗利」を増やすためには
やはり原材料費の
上昇分を価格に転嫁する
すなわち「値上げ」が欠かせません。
下請法や建設業法といった
立派な(?)法律が整備されていながら
しかし実際には
「買い叩き」の規制に違反し
「価格の転嫁」に応じない事業者は
まだまだたくさんいるのが現実です。
今回
経産省が価格転嫁に消極的な
企業名の公表に踏み切った背景には
こういった問題があるわけです。
しかし
この価格転嫁の問題に
国が本腰を入れ始めた今
多くの中小零細企業にとっては
元請や親事業者に対して
「値上げ」交渉を行う最適な
タイミングなのかも知れません。
中小零細企業が
社員に対する適正な「賃上げ」を行い
人材を確保するためにも
今こそ「値上げ」が
欠かせないでしょう。
世の中の下請企業の社長さんには
この時代の波に乗って
ぜひ勇気を出していただきたい
そう思いますね。
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。