
過去にカスハラをした顧客との取引を断りたい。
断ってしまって
何か問題はないのでしょうか?
また
そのために事前に準備しておく
べきことは何でしょうか?
(今日の「棒人間」 カスハラはお断り??)
<毎日更新1449日目>
先日
都内で複数の歯科クリニックを経営する
院長の方からご相談を受けました。
この院長のあるクリニックでは
定期的に通院している顧客からの
カスハラ被害に悩まされています。
治療中や受付窓口などで
気に入らないことがあると
暴言を繰り返している。
それで
このクリニックに勤務してこの患者を
担当している歯科医や事務スタッフが
精神的に参ってしまっている。
なんとか
この患者の来院を今後はきっぱりと断りたい
ということです。
この点
難しいのは
歯医者さんの場合は
歯科医師法という法律で
いわゆる応召義務というものがあります。
これは
患者さんから治療してほしい
という求めがある場合には
正当な理由がなければこれを
断ってはならないという
義務のことです。
この点
最近何かと問題と
なっているカスハラ。
正式には
カスハラは
① 顧客や取引先、施設利用者らが行う
② 言動が社会通念上相当な範囲を超える
③ 社員の就業環境が害される
の3つの要素を満たすもの
とされています。
患者の暴言などがひどく
上記のカスハラに該当する場合。
この場合には
上記の歯科医師法が定める
応召義務の例外として
治療を断ることができる
「正当な理由」に当たるとされています。
ですから
クリニックでは
患者がカスハラ行為を行う場合には
堂々と治療を断ることができる
という結論になります。
それでは
民間企業の場合はどうでしょうか?
この点
民間企業の場合は
医師や歯科医師などと違い
そもそも取引に応じなければ
ならない義務というものは
基本的にありません。
契約や取引をするかどうかは
当事者が自由に決定することが
できるというのが大前提です。
これを
契約自由の原則
と言ったりします。
それでは
新規の顧客ではなく
ずっと継続的に取引が続いている相手を
カスハラを理由に断ることは
できるのでしょうか?
この点
契約の途中であったとしても
相手方がカスハラ行為を行った場合には
契約を解除できるという条項を
あらかじめ契約書に定めてくことです。
そうしておけば
カスハラを行う顧客について
途中であっても契約を解除し
取引を打ち切ることが可能になります。
ただ
カスハラを行う顧客との
取引を打ち切るにしても
事前の対策や準備が
必要となってきます。
まず
会社としてやるべきなのは
その会社ごとにカスハラの
「基本方針」を作っておくことです。
ここでは
自社にとって何がカスハラに当たるのか
カスハラ行為を許さないこと
カスハラには会社として毅然と
対応することなどを宣言します。
こうした基本方針を定め
内外に公表することで
カスハラ被害をある程度事前に
抑止することが期待できます。
さらに
会社で働く社員にとっても
こうした会社のカスハラに対する基本方針が
しっかりと定まっていれば
安心して日々の業務を行うことができます。
そして
取引の約款や契約書の中で
具体的に上記のカスハラがあった場合の
解除条項を定めておくことです。
解除条項としては
具体的には下記のような定めです。
顧客が当社または従業員に対して、暴行・脅迫・著しい暴言その他社会通念上不相当な迷惑行為を行ったときは、当社は催告なく本契約を解除し、またはサービス提供を停止することができる。
いずれにしても
カスハラに対しては
会社として毅然とした対応を
行うことが必要です。
そして
いざという時に毅然とした対応を
取れるようにするためにも
上記のような事前の対策は
とても重要です。
それでは
今日のダジャレを1つ。
カスハラ顧客のあまりにカスな態度に、もう取引はお断り!
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。