中小零細企業では、
オーナー(大株主)が
社長を兼ねていることも多く、
「会社の金はオレの金」
という意識になりがち。
しかし、
社長が会社を「私物化」
することは、
大きなリスクが
あります。
(今日の「棒人間」 会社の「私物化」はよくない??)
<毎日更新1030日目>
うちの会社では、社長の家族の毎日の飲食代、クリーニング代、タクシー代、旅行宿泊費、家電製品、自宅の電話代等を会社の経費で落とされていて、それがかなりの金額になるんです。
その上、社長はかなり高額の役員報酬もとっていて、会社に利益がぜんぜん残らないみたいなです。
私たちの給料だって、もう何年もずっと上がっていないんです。
先日、
Yahoo知恵袋を何気なく
見ていたら、
社員さんたちのこんな
悲痛な叫びが聞こえて
きました。
中小零細企業で、
社長が会社を「私物化」
しているという話は、
時おり耳にします。
何をつまらないこと言ってるんだ!
オレの会社だぞ、オレの会社の金をオレが使って何が悪い?
こういう社長からしてみると、
もう会社のお金も、
自分の個人的なお金も
一緒くたになっていて、
公私混同の状態に
なっています。
ひどい場合には、
会社の売上を抜いて、
そのお金で銀座に
飲みに行く。
個人的な家族の飲食代や
旅行代などを会社の
経費に計上する、
などというケースが
典型的でしょう。
法律的な理屈の
話をしますと、
社長というのは、
会社の「取締役」
としての立場にあります。
取締役というのは、
会社と委任契約
を結んでいて、
会社(株主)から
いわば経営を委託
されているという
立場です。
当然、
会社の利益のために
経営に取り組まなければならず、
取締役が会社の利益を
犠牲にして私服をこやす、
などということは本来
法的にはNGです。
社長が会社を「私物化」
して会社の利益を害する
ということは、
本来会社の所有者である
株主の利益を害する
行為になるわけです。
そこで、
本来であれば、
社長が会社を「私物化」
して会社に損害を
与えた場合には、
会社に対して損害賠償の
義務を負うことに
なります。
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ただし、これは、
会社の所有(株主)と
経営(取締役・社長)が
分離している大企業などで
想定される話ではあります。
この点、
多くの中小零細企業の場合は、
社長自身が「取締役」(経営者)
であるとともに、
「株主」(オーナー)の地位を
兼ねていることがほとんどです。
そのような会社であれば、
別に「私物化」とか
うるさいことを言わなくても
良いではないか?
そのように思われるかも
知れません。
しかし、
中小零細企業においても、
社長による会社の「私物化」や
「公私混同」は大きな
リスクがあります。
中小零細企業の社長が、
会社を「私物化」する典型的な
パターンは、
上記のとおり
などがあります。
しかし、
厳密には、
社長が会社のお金
を使った場合は、
会計上は、
会社から社長への
「貸付金」として
処理しなければ
なりません。
決算書上で、
会社から社長に
対する貸付金が多い
会社というのは、
金融機関から
良くは見られません。
だと思われて、
融資を断られるケースも
あり得ます。
また、
税務上も、
社長の家族との
飲食費や旅行代など、
プライベートの費用は、
会社の経費とは
認められません。
税務調査が入れば、
そのような経費は否認されて、
延滞税などの支払いを
余儀なくされます。
また、
そのようなプライベートな支出は、
社長の給料だということになり、
そうなると、
その分は社長個人の所得税が
課税されることになります。
さらに、
社長が会社のお金を「公私混同」
している会社というのは、
たいてい業績が悪化していきます。
売上を抜いたり、
プライベート費用を
経費計上する行為は、
結果的に会社の
利益を減らし、
会社の業績を悪く
する行為だからです。
このように、
中小零細企業においても、
社長が会社を「私物化」
することには、
大きなリスクが
あるのです。
しかし、
それだけではありません。
冒頭で見た社員の
悲痛な叫びのように、
社長が会社を「私物化」
していることは、
社員は日頃から
よく見て知っています。
社長が会社のお金を「公私混同」
している姿は、
実は社員から丸見えだったり
することも多いのです。
本来、
まともな社長であれば、
なんとか会社の業績を上げて、いつもがんばってくれている社員の給料を上げよう。
と考えるものです。
このような姿勢の
社長のもとであればこそ、
社員も日々会社のために
がんばろうという
モチベーションが
上がるわけです。
ところが、逆に、
社長が会社のことも考えず、
会社を「私物化」して
いたらどうでしょう?
社員としてみたら、
社長やその家族の生活費や
遊興費を稼ぐために
働かされている「奴隷」
のような感覚にならない
でしょうか?
このような会社で働く社員の
モチベーションも下がりますし、
社員の心が離れて離職率が高く
なってしまうかも知れません。
人手不足の昨今、
大切な社員に
見放されてしまっては、
会社の将来はありません。
そんなわけで、
社長としては、
会社のオーナーという
株主としての立場と、
会社の経営責任者である
取締役としての
立場の違いを、
きちんとわきまえて
行動することが
大切ですね。
くれぐれも、
という意識は早急に
改めた方が良さそうです。
それでは、
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。