経営者の方から、
能力不足や勤務成績が良くない
社員を「解雇」したい、
というご相談を受ける
ことがあります。
しかし、実際には、
社員の能力不足等を理由とする
「解雇」は非常にハードルが高い。
安易な「解雇」を行うと、
後々「裁判沙汰」になって、
「不当解雇」を争われる
おそれがありますので、
注意が必要です。
(「注意」は必要?)
<毎日更新695日目>
先日、
勤務成績不良などを理由に
「免職処分」された公務員
について、その「免職処分」
の処分が取り消されるという
裁判所の判決がありました。
報道によると、
熊本県宇城市の職員だった
男性が、勤務の成績などを
めぐって、採用から半年後に
民間企業の「解雇」にあたる
「免職処分」を行いました。
その後、この男性が、
この処分は不当であるとして、
この「免職処分」の取り消しを
求めて裁判を起こしました。
この裁判で、
熊本地方裁判所は、
原告のコミュニケーション能力や指示を理解する能力など、被告が指摘する問題点には、業務に大きな支障を生ずるものはほとんど見られず、原告の能力や意欲の欠如を裏付ける事情としては不十分であると言わざるを得ない
一方的な評価に基づき処分に至る手続きを進め、十分かつ慎重な組織的検討がされたとまでは認められない
として、
市の行った「免職処分」を
取り消すという判決を
出しました。
これは、
実は民間企業の社員の「解雇」
についても、同じ問題があります。
すなわち、経営者の方から、
能力不足や勤務成績が良くない
社員を「解雇」したい、
というご相談を受けることが
あります。
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このブログでもなんどか
お伝えしていますが、
そもそも社員を「解雇」する
ことは、日本の法律上は
かなりハードルが高いのです。
すなわち、社員を
「解雇」するためには、
という2つの要件を
満たす必要があります。
もちろん、
社員の能力不足や勤務成績不良を
理由とする「解雇」の場合も、
この2つの要件を満たしているのか、
が問われます。
この点、
社員の能力不足や勤務成績不良を
理由とする「解雇」が法的に有効
とされるためには、
その不良の程度が著しい場合に
限られる、
とされています(上記①の要件)。
さらに、
社員の能力不足や勤務成績の不良が
仮に「著しい」としても、
それだけでいきなり「解雇」
とすると、やはり無効とされます。
すなわち、
「解雇」というのは、
労働者である社員の生活の糧を
奪う行為でもあるので、
会社としてもなるべく「解雇」を
避ける努力をすることが
求められます(上記②の要件)。
具体的には、
会社がその社員に対して
粘り強く指導・教育を行なったか
どうかとか、本人の能力や適正に
見合った配置転換を検討したか
どうか、などが求められます。
中小零細企業の社長さんと
話していて、よく出てくるのが、
というもの。
しかし、
その「なんども注意した」
というのが、
口頭によるもので、
証拠が残っていない場合が
あります。
結局、
後で社員の側から否定されると、
「言った言わない」の水かけ論
になってしまいます。
このようなケースでは、
指導をしたという実績についての
証拠を残すために、
「指導書」という書類に
残しておくべきです。
いずれにしても、
社員から裁判などを起こされて、
「不当解雇」で争われると、
時間もお金もかかってしまって
会社側には非常に負担が
重くなります。
私の弁護士としての使命は、
中小零細企業のトラブルを
社員との過酷な「裁判沙汰」
を避けるためにも、
くれぐれも安易な「解雇」は
行わないこと。
そして、
万が一後で争われた場合に備えて、
きちんと証拠を残しておくことが
大切ですね。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
しかし、
民間企業ならいざ知らず、
市役所でこんな安易な
「分限免職」(解雇)が
行われているとは驚きですね。
最近、
公務員の職場が「ブラック化」
しているという話を聞くことが
あります。
曲がりなりにも社員や職員を雇う、
という場合は、
やはり最低限の法律知識は
押さえておきたいものです。
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今回は、不祥事を起こして懲戒解雇になった社員に対して、さらに退職金を支給しない、という処分ができるかどうか、そんなテーマでお話しています。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。